特定技能所属機関は特定技能外国人を受け入れるにあたって必要に応じて各届出をしなければなりません。
届出は大きく分けて2つあり、随時届出と定期届出があります。
随時届出とは何か変更が生じた場合にその都度提出する書類になります。一方、定期届出とは外国人の支援状況を定期的に報告する届出になります。
随時届出
特定技能所属機関は、下記の事由が生じた日から14日以内に必要書類を地方出入国在留管理局に提出しなければなりません。
基本的には受入れ当初に締結した外国人との雇用契約に変更があった場合や作成した支援計画に変更が生じた場合などに必要になります。また支援計画を登録支援機関に委託していた場合で登録支援機関を変更した場合なども届出が必要になります。
1 特定技能雇用契約の変更(法務省令で定める軽微な変更を除く。)をしたとき、若しくは特定技能雇用契約が終了したとき、又は新たな特定技能雇用契約の締結をしたとき
2 一号特定技能外国人支援計画の変更(法務省令で定める軽微な変更を除く。)をしたとき。
3 一号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託する場合で登録支援機関との契約の締結若しくは変更(法務省令で定める軽微な変更を除く。)をしたとき、又は当該契約が終了したとき。
4 その他法務省令で定める場合に該当するとき
5 ハローワークへの届出
1の軽微な変更とは業務の内容、報酬の額その他の労働条件以外の変更であつて、特定技能雇用契約に実質的な影響を与えない変更をいいます。軽微な変更に該当した時は届出する必要がありません。
同様に2の軽微な変更とは支援の内容又は実施方法以外の変更であつて、一号特定技能外国人支援計画に実質的な影響を与えない変更をいいます。
3の軽微な変更とは契約の内容の変更であつて、登録支援機関との契約に実質的な影響を与えない変更をいいます。
4のその他法務省令で定める場合とは下記のものが該当します。
雇用契約の記事でも説明しましたが、法令では特定技能所属機関には雇用だけではなく特定技能外国人の出国や在留についても規定しています。ここでは受け入れた特定技能外国人を雇用することが困難になつた場合などに届出を規定しています。
・特定技能外国人を受け入れることが困難となつた場合
・特定技能外国人に関して出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為があつたことを知つた場合
届出する内容は届出に係る特定技能外国人の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地及び在留カードの番号の他下記の内容となります。
特定技能雇用契約の変更 一 特定技能雇用契約を変更した年月日
二 変更後の特定技能雇用契約の内容特定技能雇用契約の終了 一 特定技能雇用契約が終了した年月日
二 特定技能雇用契約の終了の事由新たな特定技能雇用契約の締結 一 新たな特定技能雇用契約を締結した年月日
二 新たな特定技能雇用契約の内容一号特定技能外国人支援計画の変更 一 一号特定技能外国人支援計画を変更した年月日
二 変更後の一号特定技能外国人支援計画の内容法第二条の五第五項の契約の締結 一 法第二条の五第五項の契約を締結した年月日
二 締結した法第二条の五第五項の契約の内容法第二条の五第五項の契約の変更 一 法第二条の五第五項の契約を変更した年月日
二 変更後の法第二条の五第五項の契約の内容法第二条の五第五項の契約の終了 一 法第二条の五第五項の契約が終了した年月日
二 法第二条の五第五項の契約の終了の事由特定技能外国人の受入れ困難 一 特定技能外国人の受入れが困難となつた事由並びにその発生時期及び原因
二 特定技能外国人の現状
三 特定技能外国人としての活動の継続のための措置出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為の発生の認知 一 出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為の発生時期、認知時期及び当該行為への対応
二 出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為の内容
5 ハローワークへの届出
・外国人を雇い入れた時または離職した時に氏名や在留資格等の情報を届出(地方出入国在留管理局でなくハローワークに届出する必要があります)
定時届出
定時届出は1月~3月、4月~6月、7月~9月、10月~12月までの3ヶ月ごとに行います。届出時期については4半期ごとに当該4半期の翌4半期の初日から14日以内に下記の事項を地方出入国在留管理局に提出しなければなりません。
1 受け入れている特定技能外国人(特定技能の在留資格をもつて本邦に在留する外国人をいう。以下この款及び第八章において同じ。)の氏名及びその活動の内容その他の法務省令で定める事項
2 一号特定技能外国人支援(職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援に係るもの)の規定により適合一号特定技能外国人支援計画を作成した場合には、その実施の状況(登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託したときを除く。)
3 前二号に掲げるもののほか、特定技能外国人の在留管理に必要なものとして法務省令で定める事項
1のその他の法務省令で定める事項とは下記のものが必要になります。
・特定技能外国人の総数
・特定技能外国人の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地及び在留カードの番号
・特定技能の活動を行つた日数、活動の場所及び従事した業務の内容
・特定技能外国人が派遣労働者等に従事した場合にあつては、派遣先である本邦の公私の機関の氏名又は名称及び住所
2のその実施の状況とは適合一号特定技能外国人支援計画の実施の状況を明らかにする資料を提出しなければなりません。
3のその他の法務省令で定める事項とは下記のものになります。
・特定技能外国人及び当該特定技能外国人の報酬を決定するに当たつて比較対象者とした従業員に対する報酬の支払状況
・所属する従業員の数、特定技能外国人と同一の業務に従事する者の新規雇用者数、離職者数、行方不明者数及びそれらの日本人、外国人の別
・健康保険、厚生年金保険及び雇用保険に係る適用の状況並びに労働者災害補償保険の適用の手続に係る状況
・特定技能外国人の安全衛生に関する状況
・特定技能外国人の受入れに要した費用の額及びその内訳
日本は外国人(中長期在留者)を入国させたら終わりではなくその外国人の身分関係、居住関係、活動状況及び所属機関の状況を継続的に把握するため法やその他の法令で外国人の氏名、生年月日、性別、国籍の属する国、住居地、所属機関その他在留管理に必要な情報を整理しなければならないという規定が法第十九条の三十六に規定されています。
なので定期届出は特定技能所属機関にとっては面倒くさい側面があるかもしれませんが、これらの届出をすることで他の国の移民制度と一線を画しているわけです。
【用語集】
特定技能外国人・・・特定技能の在留資格で在留する外国人のこと
本邦の公私の機関・・・法人・個人を問わず日本にある事務所や事務所などのこと
特定技能所属機関・・・特定技能外国人が所属している勤務先などのこと
法・・・出入国管理及び難民認定法
※本邦の公私の機関と特定技能所属機関の違いについて
本邦の公私の機関が要件を満たせば特定技能外国人を所属させることができます。そして特定技能外国人が所属している機関を特定技能所属機関といいます。
参考:出入国管理及び難民認定法 第19条の18第1、2項、第十九条の三十六に
出入国管理及び難民認定法施行規則 第19条の17、18
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