日本人が注意するべき外国人の不法滞在(オーバーステイ)

不法残留と不法滞在とは

日本に在留する外国人の多くには在留期間というものがあります。在留期間とは日本に在留できる期間のことであり、期間を過ぎるとその外国人は日本にいられなくなります。

しかし、日本にいられなくなるというのは法律的なことであり、実際には在留期間がきれているにも関わらず日本に在留している外国人は少なからずいます。このような状況を不法残留といい、オーバーステイとも呼びます。

まずは不法残留と不法滞在について説明したいと思います。

不法残留 許可された残留期間を超えて滞在している外国人のこと

不法滞在 不法残留+不法入国者+不法上陸者など

不法入国者とは旅券を持たずに、あるいは偽造された旅券で入国した者のことを指し、不法上陸者とは旅券は有効でも上陸許可を受けずに上陸した者のことをいいます。

不法滞在者とは不法残留者に加えて不法入国者や不法上陸者などの総称のことを指します。

不法残留者の数と送還された外国人の数

不法残留者は平成5年(約30万人)をピークに年々減少していますが、それでも現在6万人前後の不法残留者が日本にいると予想されています。

不法残留者の中には在留期間の期限に気づかずに過失で不法残留者になってしまった外国人も少なからずいますが、多くの不法残留者は不法就労が目的で在留していることに注意してください。

 日本における不法残留者の数と送還された外国人の数
  不法残留者 送還された外国人
平成19年 17.1万人 27.913人
平成20年 15.0万人 23.931人
平成21年 11.3万人 18.241人
平成22年 9.2万人 13.224人
平成23年 7.8万人 8.721人
平成24年 6.7万人 6.459人
平成25年 6.2万人 5.790人
平成26年 5.9万人 5.542人
平成27年 6.0万人 6.174人

悪意の不法滞在者が多い

不法就労とは

不法就労とは本来働くことができない在留資格でありながら働いてしまうことなどをいいます。例えば短期滞在の在留資格で入国した者が不法就労してしまうケースなどです。

また、就労時間の上限を超えて働くことも不法就労に含まれます。例えば留学の在留資格で学校に通っている学生が資格外活動許可をとってアルバイトをする時などに見受けられます。留学生が認められる就労時間は原則週28時間以内という制限がありますが、この制限を超えて働く学生が今非常に多くなっています。

短期滞在及び学生のケースではほとんどが故意で不法就労しているとみていいでしょう。

日本人が不法滞在者と関わるうえで注意するべきこと

もし、あなたが飲食店などのお店をやっていたとします。そこで外国人のアルバイトを雇う場合に不法滞在者や就労できない者を雇ってしまったらあなたも処罰の対象になります。

そこで外国人を雇用する時に注意したほうがいい点をアドバイスしたいと思います。

上記でも説明しましたが、外国人の多くは自分が不法就労をしていることを自覚しています。だから、不法就労をしているか尋ねても正しい返答は期待できないことを大前提にしましょう。

自分の身は自分で守るしかありません。

まずは外国人を雇用する時は在留カードの有無を確認しましょう。

在留カードを持っていない外国人は雇ってはいけません。

なかには「在留期間を更新中でカードは手元にない」など理由をつける外国人もいるかもしれませんが、在留カードは入国管理局に提出するものではありません。申請後は当日返却されるものなので入国管理局に預けているということはまずありません。

稀に申請を行政書士事務所などに任せている時は手元にない可能性もありますが、その場合は在留カードが手元に戻ってきてから再度面接に来るように伝えたほうがいいでしょう。

次に在留カードを持っていた時の注意点です。その場合は在留期間と在留資格の種類を確認しましょう。

在留期間が過ぎている場合は不法滞在の可能性が高いので雇ってはいけません。

また、在留資格の種類によっては就労できないものもあるので注意しましょう。

現状、日本で就労に制限がなく自由に就労できる在留資格は、「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」などに限られています。

それ以外の在留資格では原則「資格外活動許可」を取っていないとアルバイトはできません。

留学や家族滞在の在留資格を持っている外国人をアルバイトで雇う場合などは在留カードの裏に「資格外活動許可」をとっているか確認しましょう。

また、資格外活動許可をもっている場合でも就労時間に制限がある点は知っておきましょう。

最後に日本人の配偶者等や永住者など以外の在留資格ではスナックやキャバクラなどの風俗営業又は風俗関連営業が含まれている仕事などには就労できませんので注意しましょう。

退去強制(強制送還)と出国命令制度

不法滞在者が摘発された場合は退去強制手続き(強制送還)を執ることになりますが、退去強制事由に該当した外国人の全てが国外へ退去されるわけではありません。日本での生活態度や家族構成(日本人と結婚して子供がいる)などの状況次第では日本にそのまま在留できる可能性もあります。

また、以下の条件を満たす者は身柄を収容しないまま簡易な手続きで出国させることができます。このことを出国命令制度といいます。出国命令制度には自発的に入国管理局に出頭することなどの条件があります。出国命令制度は退去強制と比べて上陸拒否期間などが短くなっています。

出国命令制度が適応されるための要件

  • 速やかに出国する意思をもって自ら入国管理官署に出頭したこと
  • 不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと
  • 入国後窃盗罪等の所定の罪により懲役又は禁固に処せられた者でないこと
  • 過去に退去強制や出国命令により出国したことがないこと
  • 速やかに出国することが確実と見込まれること

上陸拒否期間

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