就労ビザ申請

焼肉屋等の飲食店で外国人を雇用するための3つのポイント

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焼肉屋の写真

焼き肉屋で外国人を雇用したい

先日、ある焼肉屋さんから「うちの店で外国人を雇用したいがどうすればいいか?」というご相談があった。

念のために説明しておくと外国人が日本で働く場合は何でもできるわけではない。日本における外国人の在留資格は27種類しかない。その中には焼肉屋をはじめ飲食店で働く在留資格(以下、ビザ)はない。ということで学生によるアルバイトを除いては日本で外国人が正社員として飲食店で働くことはできないのが原則である。

しかし、諦めるのは早い。実は勘違いされている方が多いので説明したい。そもそも入国管理局は飲食店で働くことは禁止していない。入国管理局は飲食店や美容室や行政書士事務所などの業種で規制はしていない。規制するのはその外国人が職場で何の仕事をするかについてだ。先ほど飲食店で働くビザはないと書いたが、これは飲食店での仕事が調理か給仕を前提にしているからだ。つまり正確に書くならば飲食店で働くビザが無いのではなく調理(技能は除く)や給仕のビザがないのである。つまり、焼肉屋などの飲食店でも調理や給仕以外の職場であればビザをもらえる可能性はでてくる。

飲食店≠雇用できない

それでは飲食店で働く外国人がとれるビザとは何か?

結論からいうと、「技術・人文知識・国際業務」である。

日本で働く外国人の多くが「技術・人文知識・国際業務」というビザを持っている。

焼肉屋で外国人を雇用するためには「技術・人文知識・国際業務」というビザをどう取るかというのがポイントになる。

それでは「技術・人文知識・国際業務」というビザがどんなビザなのかを説明する。

まずは、入国管理局のサイトから「技術・人文知識・国際業務」が行うことができる活動について引用する。

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学 その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(この表の 教授,芸術,報道,経営・管理,法律・会計業務,医療,研究,教育,企業内転勤,興行の項に掲げる活動を除く。)

引用 在留資格一覧表

ポイントは、

  1. 法律学や経済学などの専門的な技術や知識を有していること
  2. 外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動

1.法律学や経済学などの専門的な技術や知識を有していること

1.は学歴のことだ。自国の4年制の大学を卒業しているか、日本で専門学校以上を卒業していることが「技術若しくは知識を要する業務」を行うことができると判断されるポイントになる。

2.外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動

2.はいまいち分かりにくいが、外国人が外国語を使うなどその外国人が日本で働くことの必要性が判断されるポイントになる。

日本で働く必要性

以上を踏まえて焼肉屋で外国人を雇用するための3つのポイントを説明しよう。

参考:就労ビザの要件をもう少し詳しく解説

焼肉屋等の飲食店で外国人を雇用するための3つのポイント

1:事務所の選定

飲食店で行う仕事が調理か給仕だとビザはでない。そのため焼肉屋で働く場合も調理や給仕はできないことになる。それではどんな仕事をすればいいのか?これはお店によって異なるので一概には言えないが、人員管理や備品管理などの総務的な職務でもいいだろう。だが総務という部署はある程度規模のでかい会社にしかない。自社の規模によって判断するべきである。

また、焼肉屋の店舗内で働くことはお勧めできない。いくら店舗で総務の仕事をしているといっても無理がある。実際は調理や給仕をしているのではないかと簡単に想像できる。このようなことは今の入国管理局には通用しない。そのため、調理や給仕とは別に専門的な仕事をしていることをアピールすることが必要だ。事務所を店舗とは別に設けることはその外国人の職務内容の独立性をアピールすることになるので極めて大事だ。

2:外国人が働く必要性

上述したポイントの2である。外国人が日本で働くことのメリットである。メリットをうけるのは外国人だけでなく日本でもある。つまり、日本の国益になること。日本人ではできないような仕事などがポイントとなる。しかし、これは外国人の多くがクリアしている要件だ。なぜなら外国人は母国語と日本語の2ヵ国語を話せるからだ。外国人と日本人を結びつけるような通訳・販売・営業などの仕事をすることがポイントになるだろう。

3:雇用契約書

雇用契約書の写真

一昔前、外国人は日本に在留したいがために「技術・人文知識・国際業務」のビザを取得するケースがたくさんあった。実際は店との雇用関係がないにも関わらず働いていると見せかけてビザを不正に取得していた。この時に勤務先として一番多く使われていた一つが焼肉屋であった。そのため今でも勤務先が焼肉屋などの場合は審査が厳しいといえる。そこで疑いの目を払拭するためにも雇用契約書と雇用に至るまでの理由書の作成・提出は必須になる。

また、仮に晴れて「技術・人文知識・国際業務」のビザを取得できた場合でもビザには更新がある。更新の時には法定調書や納税・課税証明書などの提出が必要になる。これらの書類は勤務先でしっかり勤務しているかの指標になる。勤務先は日本人を雇用する時と同様に日本の法律を遵守しなければならない。

「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更

それでは実際に私が申請した「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更例を記載しよう。

この焼肉屋は台東区浅草周辺にある焼肉屋であった。申請人は春に専門学校を卒業したばかりだがどこにも就職できず特定活動のビザを持っていた。申請人はこの焼肉屋で学生のころからアルバイトをしていた。申請人は仕事もでき非常に真面目な性格であった。そして店主から「うちで働かせることはできないか?」という相談があった。

ポイント① 学歴

まず大事なポイントはこの申請人の学歴だ。申請人は日本の専門学校を卒業しているので学歴は問題ない。ちなみに特定活動とはビザの種類の一つだ。他の在留資格に該当しない場合などによく使われる。今回のケースだと就職活動期間中に就職ができなかったので就職活動期間の延長のために変更されたビザだと考えてよいだろう。

ポイント② 雇用関係

次に大事なポイントは申請人がお店で働く必要性だ。当たり前だがアルバイトの時と同じように調理や給仕をするようならビザは変更できない。この辺は申請人と店側はよく話し合うことが大事だ。

話を脱線するが今の入国管理局は非常にたくさんの情報を持っている。我々が想像する以上の情報だ。申請者側は実際には調理や給仕をするのにカモフラージュ的に職務内容を偽ることもある。しかし、入国管理局には申請した内容はすべて保管されているので一時しのぎの申請は後々自分の首を絞めることになりかねない。これは申請人だけでなく店側もそうだ。一度偽りの申請をすると申請人も店側も次回の審査はかなり厳しくなるだろう。申請人は将来日本でどうしたいのか?店側は申請人を将来的に雇用していく気があるのか?しっかり考えて話し合ってもらいたい。

話を戻すと、このお店は台東区浅草にある。私も知らなかったが浅草には年間で何百万人もの外国人観光客がくるらしい。この店も例外ではなく毎日外国人観光客が来店するとのことだ。店側は申請人を非常に高くかっていた。申請人の仕事ぶりや人柄についてだ。店側は店側で日本人従業員の離職率について悩んでいたみたいだ。そこで、店側はどうしても申請人を雇用したいということになった。

これを外国人が読んでいるならば是非一生懸命に働いてほしい。日本には日本人よりも外国人を雇用したいと考えている企業が年々増えている。成熟した社会の中で夢を持てない日本人よりも海を渡ってまで夢を追い求める外国人に好感を持つ経営者はどんどん多くなるだろう。是非日本でチャンスを掴んで頂きたい。

ポイント③ 職務内容を考える

一番大事なことは職務内容だ。申請人が調理や給仕以外に働ける場所を必死で探すのだ。当たり前だが嘘はいけない。この申請人は店主から期待されていることは述べた。よって申請人は人材管理のポジションにふさわしい。また、信頼があるということはそれなりのポジションもでてくる。例えばお金関係だ。店主からすれば店の売上金は信頼のできる人間にしか管理させたくないはずである。だから、申請人が簿記などの資格があれば経理担当にしてもいい。このように自分の持っているスキルを職務内容に当て込むことが必要だ。

しかし、外国人を雇う最大のメリットは通訳である。外国人が多数来日している現在、通訳を雇いたい企業はたくさんあるだろう。ここで気を付けなければならないのは飲食店に客として外国人が来店するケースだ。メニューの読み方や食べ方などの説明に通訳が必要になる。しかし私個人的にはいい気がするが入国管理局は「No」だ。これは通訳というより給仕に該当すると判断される。ビザを不正取得していた黒歴史と関係があるのかもしれない。

直接来店する外国人客には通訳としてのスキルは発揮できない。そこで考えて欲しいのがその外国人が来店するきっかけを作ることだ。今は誰もがスマホで新しい情報を探している。観光客は観光地で最高の思い出を作りたいはずなので評価の高い観光スポットや飲食店に行きたいはずである。しかし、残念ながら日本人がそのような観光客に積極的にアピールできる機会は少ない。なぜなら言葉が分からないからだ。だから、外国人を雇う時は「外国語+営業」の組み合わせで職務内容を考えて頂きたい。

この焼肉屋の場合は店側がFB(フェイスブック)をやっていた。そこにはお客様からの評価がたくさんあり歴史も古かった。インターネットに詳しい方は知っていると思うがたくさんの人から評価があると店名などが検索上位になりやすい。現にFB経由で来店した外国人観光客もいる。そこで申請人の職務内容を外国語版FBの作成・運用を中心にすることにした。幸い申請人はWEB知識に明るくすぐに外国語のFBを作成し運用することに成功した。

まとめ

この案件では申請からわずか2週間で「技術・人文知識・国際業務」の在留資格変更に成功した。

大切なことは在留資格変更の許可を取るだけでなく実際に外国語のFBの作成・運用を継続していくことだ。もちろん店の料理が外国人を納得させられる味であることが前提だ。しかし、日本の飲食店は外国人観光客に対して積極的な営業活動ができていないと感じる。FBに関しても運用している店はまだまだ少ないといっていいだろう。ましてや外国語のFBを運用している店舗は圧倒的に少ない。

日本の飲食店の中には美味くても客が来ない店は多くあると思う。しかし忘れてはならない。外国人観光客は常に美味い店、感動する店を探している。あなたが海外に旅行にいくとしたらその国の名物を食べたいと思うだろうし、その国の文化を体験できるような店があればきっと行きたいはずだ。

このように日本の飲食店と外国人従業員が手を組めば調理や給仕などしなくても実はすごい相乗効果が期待できるのだ。